第48回 お金を落とす仕組み

こんにちは、芹澤です。

今回はシルバーウィークに行ってきた韓国旅行で感じたことを書きます。

インチョンにある「インスパイアホテル」というリゾート施設に滞在してきました。

カジノ、ゲームセンター、プール、イベントホール、レストラン、コンビニなど、遊べたり食事する施設などがとにかく充実している場所です。

基本的に施設から出ずに2~3日は楽しめると思います。

第27回で宮古島のシギラについて書きましたが、今回はまた違ったタイプの「お金を落とす仕組み」を目の当たりにしました。


カジノの横に、質屋がある

一番驚いたのがこれです。

カジノのすぐ横に、質屋がありました。

恐らくカジノで負けて手持ちの現金がなくなった人が、その場で時計やアクセサリーを換金して、また賭けるということなのでしょう。

現金が尽きて「もうやめる」という選択肢を、物理的に遠ざける導線です。

人間の射幸心を、これでもかというくらい設計に落とし込んでいる。

私はそこまでギャンブルに興味はないので、本当に手元にある時計などを換金する人はいるのかな?と疑問に思いましたが、きっといるんでしょう。

ちなみにカジノは国外の旅行者限定でした。インバウンド向けです。

調べてみたところ、これは韓国のカジノ全体に共通するルールでした。

韓国では、自国民のカジノ入場が原則として禁止されています。

1960年代に外貨獲得を目的として外国人専用のカジノが作られたのが始まりで、今回滞在したインスパイアホテルのカジノも、外国人観光客限定です。

唯一の例外が、江原道にある「江原ランド」というカジノです。

廃鉱地域の経済復興を目的に、特別法で例外的に韓国人の入場が認められています。

ただし、この江原ランドは依存症問題が社会問題化した歴史もあるそうで、「自国民を入れるかどうか」は韓国国内でも簡単な話ではないようです。

話は変わりますが、マクロ的な視点では、カジノを導入し「外国人限定」という制度にすることは、日本も参考にするべきだと個人的には思っています。

外貨を稼ぎながら、自国民のギャンブル依存リスクを抑えられる。

うまい仕組みだと感じました。


プール:安く見せて、実質必須の課金

プールにも、よく考えられた仕組みがありました。

入場料自体は、ホテル1部屋あたり6,000円程度。

正直、そこまで高くはないと思いました。

しかし、ソファー席やビーチのリクライニングチェアを使うには、別途「席料」がかかります。

そして、無料で座れる休憩スポットが、基本的にありません。

つまり、入場料は安く見せておいて、そのあとの「座る」という当たり前の行為に、実質必須の課金を仕込んである。

フリーミアムというより、もはや「フリー」の部分がほとんどない設計です。

ちなみに席料は7,000円~13,000円くらいだったと思います。

安く見せる入口と、必須になる出口。

この落差が、うまく作られていると感じました。

また、一応飲食は持ち込み禁止です。

感覚的には、荷物検査などはないので、持ち込めると思いますが、一見の人にはわからないと思います。

しかも、比較的に金銭的な余裕がある人が多いと思うので、注意書き一つである程度、モラルが守られているんだと思います。

当然、プール内では売店等でお金を落とす構造になっています。


イベントも、二重で稼ぐ

滞在中、Vaundyのライブが開催されていました。

たまたま、ライブ終わりのタイミングでぶらぶらしていたのですが、かなりの人数がいました。

ここにも仕組みがあると思います。

まず、会場費でしっかり収益を取る。

そして、イベント後に観客が食事や買い物でお金を落としていく。

一つの集客で、二重に稼ぐ設計です。

人を集めることそのものが、複数のマネタイズポイントを生み出す装置になっている。

ここでも、話は変わりますが、Vaundyが韓国でも人気があるとは知らなかったです。


勝った後の気分にも、店が用意されている

もう一つ、面白いと思ったのが、高級店の配置です。

マイケル・ジョーダンのステーキハウスなど、カジノで勝ったときに「使いたくなる」ような高級店が用意されています。

客単価3万は少なくとも行くと思います。

負けたときは質屋で現金を作らせ、勝ったときは高級店で使わせる。

どちらに転んでも、お金が動くように設計されている。

これに気づいたとき、思わず唸りました。

ちなみにケンタッキーやフードコートなどもあります。

負けた後に行けるお店も、しっかり用意されています。


まとめ

今回感じたのは、「色んな場所で、色んな理由で、財布を開かせ続ける設計」の巧みさです。

カジノ横の質屋、プールの席料、イベントの二重取り、勝敗どちらでも使わせる店の配置。

一つひとつは小さな仕掛けですが、積み重なると強烈なマネタイズ装置になります。

そして、カジノを外国人限定にするという国の制度設計も、それを裏で支える仕組みの一つでした。

宮古島のシギラが「広大な自然の中に人を囲い込む」設計だったのに対し、インスパイアホテルは「あらゆる小さな出費を、無数に積み重ねさせる」設計でした。

同じ「お金を落とす仕組み」でも、アプローチはまったく違う。

これはこれで、非常に勉強になりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


おまけ

今回は2泊3日の旅行でした。

わりと久しぶりの海外旅行だったと思います。

ホテルの敷地から一歩も出なかったので、海外気分を100%味わえたかと言われると微妙ですが。

それでも、海外に行くと、日本にいることで凝り固まった自分の中のステレオタイプ的な常識が、当たり前ではないんだなと気づかされます。

例えば、接客です。

正直、日本の方が丁寧だと感じる場面がいくつかありました。

海外だから「まあこういうものだよね」と思えますが、日本にいる場合を想定すると、少し印象が悪くなるかもしれません。

日本においては、店員に賃金の割にサービスを求めすぎている面もあると思います。

最近は、店員に求めすぎない風潮も出てきていますが、まだまだ広まってはいないと思います。

日本で商売をする上では、接客の丁寧さという点は、これからも気をつけた方がいいんだろうな、と思いました。

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