第44回 屋久島で考えた、変数に乗るビジネスの怖さ

こんにちは、芹澤です。

前回予告した通り、屋久島に行ってきました。

自然は本当に素晴らしかったです。

PCはあえて持って行かず、実務からは離れて自然を満喫しました。

とはいえ、経営者である以上、仕事のことをまったく考えないわけにもいきません。

雄大な自然を前にしながら、私が考えていたのは「屋久島の観光ビジネスの構造」でした。

今回は、屋久島で感じたことを、自社にも引きつけながら書いてみます。


屋久島は、観光で成り立っている

まず、島の全体像です。

屋久島は、観光産業が経済の中心です。

そして、そのビジネスの現場を見ていて、いろいろと考えさせられることがありました。

特に強く感じたのが、このビジネスは「自分ではコントロールできない変数」の上に成り立っているということです。

大きく分けて、2つの変数がありました。

一つは、人(ガイド)

もう一つは、**自然(天候や休日)**です。

順番に書いていきます。


変数① ガイドという、過酷な仕事

屋久島の観光の主役は、なんといっても屋久杉をはじめとする大自然です。

そして、その自然を案内するのが、ツアーガイドです。

個人でも行けるようですが、ツアーで参加する方がほとんどだと思います。

このガイドという仕事が、想像以上に過酷でした。

代表的な縄文杉のツアーは、往復でおよそ13時間かかります。

朝早くから、山道を丸一日かけて歩く。

これは、相当な肉体労働です。

ある程度若く、体力のある人でなければ、続けられない仕事だと感じました。

そして、経営者の目で見ると、いくつかの怖さが見えてきます。

体調不良が、命取りになる

ガイドは、その人が倒れたら、代わりがいません。

今回のガイドさんはツアー会社に所属する社員という形でしたが、構造としてはほとんど同じだと思います。

体調を崩せば、ツアーは成立しない。

体一つで成り立っている仕事は、その人自身が最大の資産であり、同時に最大のリスクでもあります。

労働集約的で、属人的なビジネスの、典型的な脆さです。

モチベーションの維持も、簡単ではない

もう一つ気になったのが、モチベーションの維持です。

連休などの繁忙期には、連日、過酷なコースを巡ることになります。

いくら屋久島の自然が素晴らしくても、毎日13時間歩き続ければ、体は疲弊します。

そして、どんなに好きな仕事でも、それが毎日続く過酷な労働になれば、「好き」だけでは乗り越えられない瞬間が来るはずです。

第31回で「得意だから好きになる」という話を書きましたが、その「好き」も、過酷さの前では揺らぎます。

素晴らしい環境で働けること自体は幸せでも、それと日々の過酷さは、別の問題です。

そして、こうしたガイドをマネジメントする会社側も、大変だと思います。

体力に限界がある人材を、どう配置し、どうモチベートし、どう長く働いてもらうか。

人が資産であり、人がリスクでもあるビジネスの難しさを感じました。


変数② 自然と休日に、売上が左右される

もう一つの変数が、自分ではどうにもできない外部環境です。

まず、天候。

屋久島は「月に35日雨が降る」と言われるほど、雨の多い島です。

天候が悪ければ、ツアーは中止になったり、体験の質が落ちたりします。

自然が売り物である以上、その自然の機嫌に、売上が左右される。

次に、休日。

観光がメインなので、当然、人が動く休日や連休に売上が集中します。

平日と繁忙期の差が激しく、需要を自分でコントロールすることはできません。

ちなみに、島にはコンビニがありませんでした。

これも、島という立地の特性です。

便利さを求める場所ではない、ということでもあります。

天候、休日、立地。

どれも、事業者の努力ではどうにもならない変数です。

屋久島の観光ビジネスは、こうした外部変数の上に成り立っているのだと、改めて感じました。


これは、他人事ではない

ここまで屋久島の話を書いてきましたが、考えているうちに、これは他人事ではないと気づきました。

弊社も、外部変数に大きく左右されるビジネスだからです。

以前の記事でも書きましたが、弊社の窓リフォーム事業は、国や自治体の補助金制度に大きく影響を受けます。

補助金があるかないか、どんな条件か。

これは、私たちの努力では決められません。

国の政策という、完全な外部変数です。

屋久島のガイドが天候に左右されるように、私たちは補助金に左右される。

構造としては、まったく同じです。

「自分ではコントロールできない変数の上に、事業が乗っている」

屋久島で感じたこの怖さは、そっくりそのまま、自分の会社にも当てはまるものでした。


変数に乗るなら、備えるしかない

では、どうすればいいのか。

外部変数そのものは、変えられません。

天候も、補助金も、自分ではどうにもできない。

だとすれば、できることは2つだと思っています。

一つは、変数に左右されない、別の柱を作ること。

補助金頼みの事業だけでなく、それ以外の収益の柱を育てておく。

一つの変数に、会社の運命を預けすぎない。

もう一つは、変数が悪い方に振れても耐えられる体力を持っておくこと。

これまで何度も書いてきた、キャッシュの話です。

天候不順の年でも、補助金が縮小された年でも、耐えられるだけの手元資金を持っておく。

外部変数に乗るビジネスだからこそ、備えが生命線になります。

屋久島の観光業も、きっと同じような備えの中で、事業を続けているのだと思います。


まとめ

屋久島で、雄大な自然を楽しみながら、私が考えていたのは経営の話でした。

観光ビジネスは、ガイドという人の体力と、天候や休日という自然の、2つの変数の上に成り立っている。

そして、それは補助金に左右される弊社と、同じ構造でした。

自分でコントロールできない変数に乗るビジネスは、決して珍しくありません。

大事なのは、その変数に気づき、別の柱を持ち、耐えられる体力を蓄えておくこと。

どのビジネスにおいても、なにかしらの事業が影響される変数があると思います。

皆様のビジネスを考える上でのヒントになれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


おまけ

縄文杉のツアーは、往復で約13時間歩きます。

おそらく、人生で一番歩いた日になりました。

素晴らしい経験だったことは、間違いありません。

しかし、「もう一度行くか」と言われたら、素直に「はい」とは言いにくいのが本音です。

約3万歩、消費カロリーはおよそ4000キロカロリー。(普段つけているスマートリングの数値です)

山道がなかなか大変なので、自分の親世代にはおすすめしにくいな、と思いました。

若いうちにしかできないことは、しておくべきですね。

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