第27回 本当のリスクとは、リスクを下げる方法

こんにちは、芹澤です。

先日、家族と宮古島に行ってきました。

シギラセブンマイルズリゾートに宿泊したのですが、その規模があまりにも圧倒的で、気になって成り立ちを調べました。

そこから学んだことを書いてみようと思います。


シギラとは何か

シギラセブンマイルズリゾートは、宮古島の南岸に広がる約130万坪の敷地に、8つのホテル・30以上のレストラン・温泉・ゴルフ場が集まる一大リゾートシティです。

運営するのはユニマットグループ。創業者は高橋洋二氏。

この施設の成り立ちを調べていくうちに、「リスクとは何か」について考えさせられました。


そもそもなぜ調べようと思ったのか

シギラの広大な敷地を歩いたとき、素朴な疑問が浮かびました。

東西に全長11キロ。130万坪。

今でこそ有名なリゾートですが、これだけの土地を買うのは、余程のリスクではないか。

なぜそんなことができたのか。

その疑問をきっかけに、シギラの成り立ちを調べ始めました。

調べていくうちに、「リスク」という言葉の解像度が変わるような気づきがありました。


高橋氏がシギラを作った経緯

今から約40年前、1986年のことです。

当時43歳の高橋氏は、仕事のストレスがピークに達していました。

「のんびりできる場所を探したい」

そんな理由で宮古島を訪れ、現在のシギラの地を気に入り、電気も通っていない場所にバンガローを建てて住み始めます。

最初から「リゾートを作ろう」という考えは、まったくなかったそうです。

ただ、好きな場所に住んでいただけ。

ところが、地元の人や周囲から「ホテルやゴルフ場を作ってくれ」という声が上がり始めます。

断り続けていたものの、やがて根負けして「本気でやってみるか」と決意。

そこから25年の歳月をかけて、何もなかった原生林を現在の一大リゾートへと変えました。


「すごいリスクを取った人」という見方は正しいか

この話を知ったとき、最初に思ったのは「すごいリスクを取ったな」でした。

宮古島がまだ無名だった時代に、電気も通っていない土地に移り住む。

普通に考えれば、かなりの賭けです。

しかし、少し調べてみると、見え方が変わってきました。

高橋氏はすでに巨万の富を持っていた

高橋氏は宮古島に来る前から、消費者金融事業で全国約300店舗を展開し、業界6位の規模に成長させた実業家です。

さらに1980年代に青山を中心に不動産を戦略的に取得し、バブル景気の恩恵を受けて莫大な資産を形成していました。

つまり、宮古島の土地購入は、彼の資産規模に対して十分に許容できる範囲の話だったのです。

「全財産を賭けた」のではなく、「余裕資金で好きな場所を買った」に近い。

庶民の私には到底想像できませんが、あくまで許容範囲内のリスクだったようです。

最初は「事業」ですらなかった

もう一つ重要な点があります。

高橋氏は最初、事業として宮古島に投資したわけではありません。

個人の別荘として住み始めただけです。

仮に何も起こらなくても「南の島に自分の楽園ができた」で完結する話でした。

リゾート開発はあくまで「周囲に求められた結果」です。

1年間現地に住んで、確信を持った

彼は机上で分析して投資を決めたのではありません。

実際に1年間、その土地に住んでいます。

天気、海の美しさ、人の温かさ、生活のしやすさ。

すべてを体感した上で、「ここには価値がある」という確信を持っていた。


本当のリスクとは何か

ここで改めて考えてみます。

「リスクが高い」と感じるとき、その正体は何でしょうか。

多くの場合、「情報が足りない」か「体力が足りない」か、そのどちらかだと思います。

高橋氏はどちらも解決していました。

情報については、1年間現地に住むことで徹底的に解消した。

体力については、すでに十分な資産があったため、失敗しても致命的にはならなかった。

つまり、見かけ上のリスクは高かったが、本質的なリスクは低かったのです。

「大きなリスクを取った」のではなく、「本質的なリスクを下げた上での行動だった」「本人にとってそこまでのリスクではなかった」というのが、正確な見方だと思います。


自分に引き寄せて考える

この話を知りながら、自分のことを振り返りました。

「これはリスクが高い」と感じて踏み出せないとき、自分はリスクの本質を正確に見ているのか。

情報不足のまま怖がっていないか。

体力があれば実は許容できるリスクなのに、過大に見積もっていないか。

リスクの「見かけ」と「本質」は、必ずしも一致しません。

大事なのは、見かけに惑わされず、本質的なリスクを正確に見極める力だと思っています。

そのためにできることは、シンプルです。

情報を取りに行くこと。そして体力をつけておくこと。

情報は待っていても入ってきません。

勉強し続け、学び続けることでしか、情報の質と量は上がりません。

以前の記事でも書きましたが、AI時代においてむしろそれ以上に、学び続ける姿勢が問われると思っています。

そして経営における体力とは、突き詰めるとキャッシュです。

キャッシュに余裕があるからこそ、リスクを取れる。

キャッシュが薄ければ、どれだけ良い情報を持っていても、動けない。

以前キャッシュの重要性について書きましたが、シギラの話はそれを改めて証明してくれました。

情報とキャッシュ。この2つを積み上げることが、リスクを下げながらチャンスを取りに行くための、最も地道で確実な準備だと思っています。

ただし、この2つを突き詰めてもリスクはゼロにはなりません。

最後の最後には**「決断力」と「胆力」**、つまり気持ちの部分が大切です。

高橋氏も最後の最後は、感情で決めたのではないかと推察します。

そろばんをはじくだけなら、リスクの方が大きいと思うからです。

蓋を開けてみれば、高橋氏の判断が正しかったことは明らかです。


まとめ

「リスクが高い」と感じるとき、それは本当にリスクが高いのでしょうか。

高橋氏がシギラで見せたのは、「無謀な挑戦」ではなく「本質的なリスクを下げた上での行動」でした。

情報を取りに行く。キャッシュという体力をつけておく。そして最後は腹を決める。

この3つが揃ったとき、リスクに見えていたものが、チャンスに変わることがある。

そういう目線でものごとを見られる人間でありたいと、宮古島から帰って改めて思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


おまけ

私は普段、現金をほとんど持ち歩きません。

財布も持っていません。手帳型のスマホケースにクレカ2枚と現金のお札を1枚入れているだけです。

東京であれば、現金がなくて困ることはほぼありません。

しかし今回、宮古島で初めて困る経験をしました。

田舎あるあるかもしれませんが、キャッシュレス非対応のお店が結構あります。

普段であればスマホアプリのATMで現金を引き出せるのですが、ここで盲点がありました。

宮古島のコンビニはファミリーマートだけです。

おそらくドミナント戦略がうまくいっており、他社が入りにくい構造になっているのだと思います。

私が使っている楽天銀行は、アプリでの引き出しがセブンイレブンかローソンのみ対応。

キャッシュカードを持っていれば問題なかったのですが、あいにく持ち合わせていませんでした。

(ミニマリストな妻も同様でした。)

結果的に、ゆうちょ銀行でクレカのキャッシングを使い、なんとか乗り切りました。

ちなみに、海外でも同じ手が使えます。

クレカのキャッシングはすぐに返せば金利はたかがしれており、わざわざ換金所を探す手間も省けます。

今回は経営以外の場面で、「キャッシュが大事」という意味を身をもって学びました。

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